2017年4月19日水曜日

GICUで使うお薬あれこれ

ICU勉強会  担当 M先生

「GICUで使うお薬あれこれ」

・GICUでよく使うお薬を改めてまとめてみました。
・アセトアミノフェン
  ・50%鎮痛力価:NNT 3.5(NSAIDsは2-3程度)
  ・1回1,000mgまで、4-6時間おきに投与、最大4g/日まで投与可能
   (アルコール依存症、低栄養患者には投与量1日2g以下にする)
  ・天井効果があり1回量1,000mg以上を投与しても効果は増大しない
   →天井効果がないのは強オピオイドのみである。
・POAF予防薬
  ・POAFについて
    ・開心術後の20-50%に発症(CABG:約30%,弁置換術:約40%)
    ・胸部外科手術でも0.6-3.6%程度は生じる
    ・術後死亡率の増加につながる
    ・周術期脳血管障害、急性腎障害、心不全のリスク
  ・POAFリスク
    ・高齢者
    ・COPD
    ・弁膜症手術
    ・緊急手術
    ・低心機能(EF<30%)
    ・IABP挿入
    ・腎機能障害(eGFR<15ml/min/1.73m2)
  ・使われるお薬として・・・
   ・βブロッカー
     →ACCP 2005, CCS2010, ACCF/AHA/HRS2011の
      いずれのガイドラインでも第1選択となっている。
     →術前に投与されている場合は術後も継続する。
   ・アミオダロン
     →HR<60, sBP<100, 徐脈性不整脈など
      βブロッカーが使いにくい場合に考慮される。
・術後抗血小板薬
  ・アスピリン
   ・CABGにおいて・・・
    ・SVGグラフトの開存率を有意に改善する。
    ・内胸動脈グラフトの開存率の改善は示されていない。
      →もともと10年開存率≧90%と高いため
    ・術後イベント(心筋梗塞・脳梗塞・腎不全)の抑制が示されている。
    ・術後24時間以内には再開すべき。
   ・TAVI後はDAPTを導入する。
・スタチン
 ・適応は?
   ・ASCVD(atherosclerotic cardiovascular disease)既往
   ・LDL-C≧190mg/dL
   ・40-75歳のDM患者
   ・10年-ASCVDリスク≧7.5%以上
・鼻腔MRSA治療薬
  ・術前鼻腔MRSA検査の適応
   →ルーチンでの検査は推奨されない
  ・MRSAハイリスク患者
    →MRSA感染既往、最近の医療・福祉施設の入院・入所歴、
     血液透析など
  ・重篤・難治性感染のハイリスク手術
  (心臓手術・人工関節置換術)を施行する患者
  ・バンコマイシン(VCM)のSSI予防効果
             (vs. βラクタム抗菌薬)
    ・MRSA→0.44(p=0.05)
    ・MSSA→2.79(p<0 .001="" p="">    ・緑膿菌→0.96(P=0.95
   →MRSA陰性ならCEZのみ(VCMは不要)
   →MRSA陽性ならVCMは有効だが抗MSSAにCEZも必要
・ストレス潰瘍の予防
 ・潰瘍を予防する目的
    →ICU患者の75%-100%は入室後24時間以内に粘膜病変をきたし、
     自然経過ではその5-25%が出血に発展する。
    →重症患者において消化管出血が起きた場合、
     致死率は20-30%に達すると言われる。
    →しかし胃酸を抑制することにより感染症を発症しやすくなる
 ・潰瘍予防を推奨
   ・凝固異常(PLT<50,000/mm3, PT-INR>1.5)
   ・48時間以上の人工呼吸器管理
   ・1年以内に消化管潰瘍・出血をきたしている
   ・GCS≦10
   ・熱傷面積>35%
   ・肝部分切除
   ・多発外傷(injury severity score≧16)、
   ・肝不全
   ・脊髄外傷
   ・肝・腎移植、
   ・敗血症
   ・1週間以上のICU入室
   ・6日以上の潜血
   ・ヒドロコルチゾン250mg/day以上のステロイド投与
 ・H2RA vs PPI
  ・PPIの方が臨床的に重要な消化管出血を減少させるという研究が多い。
  ・医療関連肺炎の発生率はPPIの方が多いとされる研究が多い。

 臨床工学技士さん主催、人工心肺ハンズオン