2013年4月28日日曜日

腎交感神経アブレーション

麻酔科勉強会  担当:U先生

「腎交感神経アブレーション」

・高血圧
 ・10-20mmHg毎に心血管死亡率2倍
 ・脳血管障害・心筋梗塞・心不全・腎不全のRISKが劇的に増大
 ・およそ半数でしか降圧管理目標に到達していない
 ・有病率高い
   →2000年有病率 約25%の成人
   →2025年までには約30%の成人
     ・特に開発途上国
・治療抵抗性高血圧について
   →大半は本態性高血圧
   →実は二次性が隠れているcaseも。
・腎の神経支配について
  ・輸出・輸入細動脈を含めた全ての腎臓血管
     →交感神経線維によって支配されている
・交感神経刺激受容器としての腎臓(旧来)
    →交感神経賦活臓器としての腎臓

・腎交感神経繊維アブレーションについて
  ・症例報告
    ・59歳男性
    ・7種類の降圧薬 161/107mmHg
    ・アブレーション1ヶ月後141/90mmHg
    ・12ヶ月後127/81mmHg
   →遠心性腎交感神経NEスピルオーバー(実質的放出量)↓↓
   →直接傷害されていない全身のNEスピルオーバーも↓↓
   →全身への遠心性交感神経活動も低下?
・腎臓の神経支配
  ・Th10-L2
    ・神経線維は腎血管の外膜に埋もれている
・腎交感神経繊維アブレーション
  ・両側腎動脈内にカテーテル挿入
  ・5-8W・約2分/回で焼灼。
  ・血管内皮細胞は傷害されず外膜に侵入する腎神経束は有効に焼灼。
  ・治療時間は平均38分。
  ・治療中は痛みが続くとか・・・
・デバイスの紹介
・You Tubeに紹介映像ありました。
・現状
 ・日本不整脈学会・インターベンション治療学会
  高血圧学会の合同委員会発足
 ・適応、予測因子など議論中
 ・交感神経活動指標 アイソトープ 日本では・・・




硬膜外麻酔の合併症

初期研修医勉強会  担当:M先生

「硬膜外麻酔の合併症」

・硬膜外麻酔
 ・硬膜を通して作用するので緩徐。
 ・術後も持続投与が可能となる。
 ・ストレスホルモンの上昇や免疫機能の上昇
 ・呼吸器合併症やイレウスの発生率の低下
 ・早期離床が可能
・合併症
 ・血管穿刺:2.8%
 ・硬膜穿破:2.5%
 ・背部痛:2.0%
 ・低血圧:1.8%
 ・全脊髄くも膜麻酔、中毒:0.2%
 ・硬膜下注入、一過性神経麻痺:0.1%
 ・硬膜外血腫:1/150000
・低血圧
 ・交感神経の遮断により起こる。
 ・抗精神薬服用者はリスクファクター。
 ・α受容体の遮断による。
・高血圧
 ・三環系抗鬱薬、MAO阻害剤
   →神経終末でのカテコラミン再取り込み阻害による。
 ・非選択的β blockerはα受容体を優位にする。
・極めて稀な副作用
 ・持続勃起
   →泌尿器科手術などでは手術中止の適応となる。
・持続勃起に対する対応
 ・Ketamine投与0.5mg/kg(+Physostigmine~1.5mg)、
   →NMDA受容体を刺激して交感神経を活性化。
 ・ベンゾジアゼピン投与(5~10mg)
 ・S2-S4のブロック
 ・冷却生食による浣腸


2013年4月18日木曜日

TAVIについて

麻酔科勉強会  担当:S先生

「TAVIについて」

・TAVI
 ・Transcatheter Aortic Valve Implantation
 ・現在は高度先進医療で国内4施設で施行されている
 ・今年秋から保険診療になる予定
 ・当院も認可施設基準を満たしているらしい
・方法
 ・局所麻酔+鎮静または全身麻酔
 ・ペーシングリード挿入
 ・抗凝固
 ・ラージシース挿入
 ・ヘパリン化(ACT>250)
 ・術中TEE
 ・ガイドワイヤー留置
 ・人工弁展開
 ・術後評価(MR、AR)
・合併症
 ・完全房室ブロック
   ・永久ペースメーカー必要率
     →CoreValveの方がSapien valveより多い。
     →RBBBの存在はCHBのリスク
 ・AR
   ・Paravalvular AR
     →バルーン拡張、valve in valve留置など
   ・Central valvular AR
     →放置、2nd TAVRすることも
 ・血圧が下がったら?
   ・腸骨動脈破裂、心破裂、急性弁機能不全、冠動脈閉塞、
    poor LV機能の人にrapid pacingしたとき
    LVH患者におけるSuicical LV
・臨床試験
 ・PARTNER Trial
    ・ASハイリスク患者(n=699)と手術適応外患者(n=358)を対象
  ・コホートA(ハイリスク患者)
    ・AVR vs TAVI
     →脳卒中と大血管合併症の発生率はTAVI群で高かった。
     →大出血や不整脈は少なかった。
     →一次エンドポイントについては両群間で有意差はなかった。
  ・コホートB(手術適応外患者)
    ・標準治療 vs TAVI
     →TAVIは1年までの生存率を改善させる。
     →コストの問題
・ガイドラインの紹介
 Transcatheter aortic valve implantation: a Canadian Cardiovascular Society position statement.
 Can J Cardiol. 2012 Sep-Oct;28(5):520-8
・TAVIの麻酔
  ・局所麻酔±sedationか全身麻酔。
  ・文献的には全麻が多いが局麻で行う例も増えている
  ・モニタリングはA圧とCVPのみでPACはルーチン挿入していない
  ・麻酔方法についての大規模比較試験は行われていない。
  ・GAとLAを比較した4編の論文
    ・LA
     →カテコラミンの使用量・ICU滞在日数・在院日数
     →GAより有意に低いが30日間のmortalityは変わらない。
  ・術中の合併症が致死的で迅速な対応が必要
  ・TEEは必須
  ・LAからGAへの移行率が17%ある
  ・Femoral approachは元々合併症のリスクが高い
  ・EEも少量の麻薬を中心とした鎮静で行える
  ・NIVも併用すると良い
・まとめ
  ・TAVIはハイリスク患者の方が有益
  ・TAVIそのものにも議論は多い。(BMJ 2012;345:e4710)
  ・麻酔に関しては当面は全身麻酔がよさそう
  ・局所麻酔でも麻酔科の役割は大きい
  ・ICUで難渋する症例が増えそう?


2013年4月9日火曜日

Brugada症候群患者の麻酔

麻酔科勉強会  担当:I先生

「Brugada症候群患者の麻酔」

・Brugada症候群
  ・VT/VF
  ・Sudden cardiac death (SCD)
  ・アジア人男性
  ・ICD
 ・Brugadaらが1992年に報告
 ・明らかな器質的心疾患なし
 ・右側胸部誘導(V1-3)における特徴的なST⬆
      →そこから誘発されるVF
 ・日本を含め、東・東南アジア地域に多い
 ・男>>女 (72-76%)
 ・遺伝性AD(NaやCaチャネル遺伝子変異など)
 ・浸透率は低い.16%とも
 ・45歳の突然死 FHは22-50% (特に無症候群では50-70%)
 ・VFの過半数は安静時・夜間睡眠中
 ・PAF、冠攣縮性狭心症、神経調節性失神
 ・重篤な心事故の発生率
   ・VF・蘇生群 17.4% /year
   ・失神群 6.2% /year
   ・無症候群 0.6-3.7% /year
・心電図
 ・coved 型(Type1)
    →J点からドーム上にST上昇
    →VF生じ易い
 ・saddlebach型(Type2,3)
    →J点からSTがいったん下方に向かった後に再び上に向かう
・特徴的な心電図+以下の1つ
  a)Documented VF
  b)Self-terminating polymorphic VT
  c)FH of sudden cardiac death at <45yrs
  d)Type 1 ST elevation in family members
  e)Electrophysiologic inducibility of VT
  f)Unexplained syncope suggestive of a tachy
  g)Nocturnal agonal respiration
 ・type2,3は右前胸部誘導で1誘導以上、
  NaCB負荷でtype1ST上昇認めればBS
・BSにおいて重篤な不整脈を生じる因子
 ・Brugada型ST上昇の誘発因子は??
 ・Induced Brugada-Type Electrocardiogram,
    a Sign for Imminent Malignant Arrhythmias.
             Circulation. 2008; 117:1890-1893
   ・ERにてBrugada型ECGを示した47人
   ・male 69%、mean age 48 ± 16.2 yrs
   ・可能なら遺伝子SCN5A検査もした
 ・47人のうち
   ・16人は発熱時にBrugada型ECG変化
   ・26人は投薬を契機に
     (コカイン、麻酔薬、抗不整脈薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬)
   ・5人は電解質異常
   ・24人(51%)で致死性不整脈
     ・そのうち18人で突然死
       (6人が発熱時、8人が麻酔薬で)
     ・3人がVT
     ・3人が失神
・Brugada型ST上昇の機序
  ・心筋の内向きNa電流・Ca電流の低下
   →NaCB、コカイン、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬
  ・外向きK電流の増加
   →高K、副交感神経刺激、ATP感受性Kチャネル活性化剤
  ・プロポフォール
   →L型Ca電流抑制?まだ不明
  ・発熱
   →温度依存性に開口率が変化するNaチャネルの変異を持つため、
    発熱によりECG変化が生じる可能性
      →長時間の入浴もリスク
・PRISとの関連
  ・PRIS(propofol-related infusion syndrome)
  ・高濃度(>5mg/kg/hr)、長期間(>48hr)
  ・横紋筋融解、腎不全、高K、代謝性アシドーシス、高TG
  ・ミトコンドリア脂質代謝障害?遺伝子欠損?
 ・PRISで死亡した人の死亡前のECG再解析
    →多くはBrugada型ST上昇に伴うVFだったという報告


2013年4月5日金曜日

NIRSいろいろ

麻酔科勉強会  担当:Y先生

「NIRSいろいろ」

・分光法
  →光を当てて物質の定性、定量、物性を知る手法
・近赤外線
  ・非破壊・非接触測定が可能 
  ・迅速に測定結果が求められる
  ・装置が安価
  ・「雑音」が多く正確な測定が困難だった。
    →computerの安価化および多変量解析の発達
    →定量分析への応用が可能となる。
・NIRS測定原理
  ・深部-浅部=脳実質組織
・NIRSとパルスオキシメトリーの違い
  →使用する光が違う
  ・パルスオキシメトリー
    ・動脈血酸素飽和度を測定するために開発。
    ・拍動を感知することで動脈成分のみをdetectする。
    ・すなわち、拍動がなければ測定できない。
  ・NIRS
    ・静脈成分が多い組織酸素飽和度(rSO2)測定。
    ・動脈成分と静脈成分を区別しない。
・rSO2が下がった時
  ・酸素供給量不足
    →CI上げる、圧上げる、Hct上げる、脳灌流量上げる
  ・酸素消費過多
    →体温冷やす、麻酔深度を深める
・rSO2が高くても
  →脳の酸素利用障害の可能性
  →必ずしも安心できない

・NIRSと心臓外科術後中枢神経合併症について
  ・術後神経合併症をきたした群では
   手術時間およびrSO2<55%の時間が有意に長かった。
      Eur J Cardiothorac Surg. 2004 Nov;26(5):907-11
  ・SACP中、rSO2がbaselineの76-86%低下
    →感度83%、特異度94%でstrokeの診断となる。
      J Thorac Cardiovasc Surg. 2006 Feb;131(2):371-9.
  ・rSO2がbaselineの80%に低下
    →術後神経合併症と有意に関連
      Applied Cardiopulmonary Pathophysiology 13: 201-207, 2009
  ・NIRS導入前と導入後の比較。導入後はrSO2低下に対して介入。
    →NIRS導入後はstrokeの割合が有意に低かった。
      Heart Surg Forum. 2004;7(5):E376-81.
  ・CABG患者をNIRS display群と非display群にランダム割付。
    →display群ではrSO2低下に対して介入を行う。
    →非display群ではrSO2低下時間とICU滞在期間が有意に増加。
    →合併症に差はなし。
      Anesth Analg. 2007 Jan;104(1):51-8

・NIRSと術後認知機能障害、術後譫妄との関連
  ・rSO2<40%の期間があることが術後MMSE、ASEM低スコアと関連。
      J Cardiothorac Vasc Anesth. 2004 Oct;18(5):552-8
  ・CABG患者でrSO2低下に対して介入群と非介入群で割付。
    →非介入群は早期POCDリスク上昇および病院滞在期間も延長。
      Ann Thorac Surg. 2009 Jan;87(1):36-44; discussion 44-5
  ・CAM-ICUを用いて術後譫妄リスクを評価
    →術中crSO2 < 51%で術後譫妄発症を予測。 
      Crit Care. 2011;15(5):R218

・Out-of-hospital cardiac arrest (OHCA)
・Post cardiac arrest syndrome (PCAS)
  →早期集中治療介入の適応判断としてのNIRS使用
  ・来院時心肺停止症例における到着時crSO2と社会復帰率
    →rSO2>40%では社会復帰率50%の報告も
      Resuscitation. 2012 Jan;83(1):46-50.
・J-POP registry
  →Japan-Prediction of neurological Outcome
                in Patients with cardiac arrest
 ・院外心肺停止患者におけるrSO2測定の有用性に関する研究
 ・全国24施設が登録

・中枢神経以外でNIRS
 ・Septic shock患者で最初の24hで腕撓骨筋rSO2<60%は予後が悪い。
      J Trauma. 2011 May;70(5):1145-52
 ・EGDT中にScvO2とrSO2の関連を見た。
   →咬筋rSO2がScvO2を最もよく予測。
   →咬筋rSO2と三角筋rSO2が28日mortalityを予測。
      Crit Care Med. 2012 Feb;40(2):435-40
 ・早産期児の額と側腹部と腹部にINVOS貼ってみた研究
      J Perinatol. 2011 January; 31(1): 51–57

・NRISの問題点
 ・NIRS測定デバイスによりrSO2異常の定義がバラバラ。
   →ちなみにアメリカではINVOS、FORE-SIGHT、EQUANOXが三大人気。
 ・大動脈手術後のstrokeは、RCTを行うには頻度が低すぎる。
   →clinical evidenceが未だ確立されていない。
 ・POCD、術後譫妄に関しても質の高い研究がなされていない。
 ・コストの問題。(プローブ片側のみで15,000円程度)



Journal超ななめ読み3月

「Journal超ななめ読み3月」


Effects of fibrinogen concentrate as first-line therapy during major aortic replacement surgery: a randomized, placebo-controlled trial.
大動脈手術において第一選択肢としてのフィブリノゲン製剤の効果
Anesthesiology. 2013 Jan;118(1):40-50


Epidural versus Continuous Preperitoneal Analgesia during Fast-track Open Colorectal Surgery: A Randomized Controlled Trial.
Fast-track開腹腸管手術における硬膜外麻酔vs持続腹膜前面麻酔の比較
Anesthesiology. 2013 Mar;118(3):622-630.


Influence of increased left ventricular myocardial mass on early and late mortality after cardiac surgery.
心臓術後の左室心筋重量増加と早期・晩期死亡率の影響
Br J Anaesth. 2013 Jan;110(1):41-6


Brief report: a randomized comparison of ropivacaine 0.1% and 0.2% for continuous interscalene block after shoulder surgery.
肩関節手術における持続斜角筋ブロックにおける0.1%、0.2%ロピバカインの比較
Anesth Analg. 2013 Mar;116(3):730-3.


The impact of bispectral index versus end-tidal anesthetic concentration-guided anesthesia on time to tracheal extubation in fast-track cardiac surgery.
Fast-track心臓手術におけるBIS指標抜管とEnd-Tidalガス指標抜管の比較
Anesth Analg. 2013 Mar;116(3):541-8.


Predictive value of pulse pressure variation for fluid responsiveness in septic patients using lung-protective ventilation strategies.
肺保護戦略中のsepsis患者における脈波変動の輸液反応性に対する有用性
Br J Anaesth. 2013 Mar;110(3):402-8.


Echo rounds: difficult cannulation of the coronary sinus due to a large thebesian valve.
テベシアン弁のためにレトロのカヌラが挿入困難だった1例
Anesth Analg. 2013 Mar;116(3):563-6.


Pravastatin for the prevention of preeclampsia in high-risk pregnant women.
プラバスタチンはハイリスク妊婦において子癇予防となりうるか
Obstet Gynecol. 2013 Feb;121(2 Pt 1):349-53.


Cerebral near-infrared spectroscopy monitoring and neurologic outcomes in adult cardiac surgery patients: a systematic review.
成人心臓手術におけるNIRSと神経学的予後
Anesth Analg. 2013 Mar;116(3):663-76.



・大動脈手術でフィブリノゲン製剤は輸血量を減らす。
・やはり硬膜外は強力。
・LV systolic function低下よりLVMI増加のほうが予後不良を予測する。
・持続斜角筋ブロックはアナペイン0.2%でよさそう。
・早期抜管はBIS、Etガスよりも患者固有の問題に左右される。
・⊿PPは肺保護のやや低換気でも輸液反応性の指標となる。
・X-planeで見るとテベシアン弁つきCSの立体構造がわかる。
・スタチンはおそらくは妊婦にも投与可能、子癇も予防できそう。
・crSO2はevidenceを得るに至っていないがデータは集まりつつある。


2013年4月1日月曜日

腹部大動脈瘤の術後腸管合併症

ICU勉強会  担当:K先生

「腹部大動脈瘤の術後腸管合併症」

・部位
 ・胸腹部大動脈瘤として
   ・上行:16% 下行:10% 弓部:7% 胸腹部:2%
    腎上部:5% 腎下部:60%
 ・腹部大動脈瘤として 腎下部:95%
・原因
  ・動脈硬化性(90%以上)
  ・特発性嚢状中膜壊死
  ・Marfan 症候群、Ehlers-Danlos 症候群
  ・特異的炎症
  ・梅毒性、結核性
  ・非特異的炎症
  ・大動脈炎症候群、Bechet病
  ・細菌感染
  ・外傷
・腹部大動脈瘤
 →最大短径が55mmを超えると破裂する可能性が増大する
 →5mm/6ヶ月以上の拡張速度で手術を検討される
・治療
  ・外科的治療:人工血管置換術
    ・腹膜経路
    ・後腹膜経路
  ・血管内治療:ステントグラフト挿入術
    ・適応
      ・中枢側のネックが長く(15mm以上)
       比較的真っすぐ(60度以下)かつ直径が28mm以下
      ・アクセスルートとして腸骨動脈が長く(6-7mm以上)、
       極端な屈曲蛇行・石灰化がみられない
      ・末梢側ネックが10mm以上
・手術死亡率は2-3%
  ・早期合併症
    →心合併症、呼吸器合併症、
     腎機能低下、創感染、出血
     腸管麻痺、腸管虚血、臀筋跛行、性機能障害(陰萎)
  ・晩期合併症
    →吻合部動脈瘤、グラフト閉塞、
     グラフト感染、グラフト腸管瘻
・腸管虚血
  →待機的腹部大動脈瘤手術の約1.6%に発生する
  ・下腸間膜動脈(IMA)領域、特にS状結腸に好発
  ・腸管切除が必要な腸管虚血
     →死亡率は50%を上回る
  ・危険因子
    ・年齢
    ・腎障害
    ・腸切除の既往
    ・緊急手術
    ・術者の経験不足
    ・大動脈遮断時間の延長など
・腸管虚血の評価、予測
  ・肉眼的観察
  ・腸管の色調
  ・腸管ドプラ音・直腸ドプラ音
  ・ドプラエコーの使用
  ・IMA断端圧
  ・血液pH、PaO2も腸管虚血と関連がある
  ・下部消化管内視鏡検査
    →最も信頼性が高い
    ・手間がかかりルーチンでは行われない
  ・臨床症状
    →腹部所見、腹痛、粘血便
・IMA再建によって虚血性腸炎は有意に減少しない
・後腹膜アプローチは術後腸管麻痺を軽減できる


・本日の論文
A cohort study of nutrition practices in the intensive care unit following abdominal aortic aneurysm repair
JPEN J Parenter Enteral Nutr. 2013 Mar;37(2):261-7