2012年11月14日水曜日

挿管困難と顔貌

初期研修医勉強会  担当:F先生

「挿管困難と顔貌」

・開口度
  ・下顎骨ー側頭骨関節機能
  ・口が開かなくては始まらない
・最大開口時の上下前歯間距離
  ・通常2.5~3横指幅
  ・2横指幅以下⇒喉頭鏡のブレード挿入、操作が困難
・上顎前歯の突出
  ・喉頭鏡操作および視線の妨げになる。
  →挿管困難の可能性が高くなる
  ・ブレードによる歯の損傷の可能性も高くなる
・マランパチー分類
  ・ClassⅠ、Ⅱでは喉頭展開しやすい
  ・ClassⅢ、Ⅳでは挿管困難が多い
・下顎のスペース
  ・挿管困難が予測される場合は・・・
    ・下顎ー舌骨間距離 2横指以下
    ・下顎甲状軟骨隆起間距離が6.5cm以上
・頸部伸展度
 ・喉頭展開
  →口腔・咽頭・喉頭の軸を一致させたい
  →頭部をさらに伸展させる必要がある。
 ・環椎ー後頭骨関節機能障害(慢性関節リウマチ)など
  →頭を後屈するのが困難
  →挿管困難の可能性が高くなる。
 ・その他頭部、頸部、顔面の評価
   ・頭が短い
   ・頭部・顔面・頚部の外傷
   ・高度肥満

・挿管困難対策
 ・ファイバースコープ下挿管
   ・気管支ファイバースコープを使用する主な目的
     ①分離肺換気デバイスの操作
     ②挿管困難
     ③喀痰吸引や無気肺の解除など
   ・喉頭の観察
     →経鼻的に行う方が経口的に行うよりも容易。
   ・気管内チューブの挿入
     →角度的に経鼻の方が進みやすい.
   ・経口の場合は舌をうまくよけておく必要
   ・バーマンエアウェイTを使用する。
 ・Airway Scope
   ・2006年7月登場。
   ・日本のペンタックス社(現HOYA株式会社)。
   ・一般名称はビデオ硬性挿管用喉頭鏡
   ・ディスポーザブルの喉頭鏡
     →イントロック(ITL).
   ・AWSの利点
    ①通常の喉頭鏡よりも視野が良好
    ②優れた気管チューブ誘導機能がある
    ③頭頸部の位置を動かす必要がない。
      →自然位で挿管可能(頸椎病変患者に有用)
    ④イントロックに吸引カテーテルを挿入できる。
      →挿管操作中の吸引操作が容易  
    ⑤液晶モニター。
      →より多くの人に挿管状況の観察が可能
   ・欠点
    ①高価。本体850,000円、ITL=1箱5本入り12,500円
    ②開口制限時は使用困難(開口量18mm以下では使用不能)
    ③歯の脆弱がある場合、挿入・操作が困難
    ④曇り止めが必要
    ⑤分泌物や出血が多いと視野閉塞の可能性あり
    ⑥歯の脆弱がある場合、挿入・操作が困難
 ・Bullard型喉頭鏡
   ・気道の解剖に. 基づきJ字型にデザイン
   ・内視鏡を有する喉頭鏡
   ・気管内チュ-ブが通過できる程度の開口が可能
     →かなり高確率で挿管が可能
 ・盲目的経鼻挿管
   ・適度の鎮静を効かせる。
   ・経鼻で気管内チューブを通す。
   ・呼吸音を頼りに患者の吸気に合わせてチューブを進める。
   ・挿管する.
 ・トラキライト
 ・ラリンジアルマスク
   ・利点
    ・挿入は気管挿管よりも容易、盲目的に挿入可能。
    ・効果はバッグマスク法よりも確実。
    ・酸素化、陽圧喚起能力は気管挿管とほぼ同等。
    ・声門を通らないため、侵襲は気管挿管よりも小さい
   ・欠点
    ・気管と食道が完全に分離されない
   ・マスクから漏れが大きいときは陽圧換気が不十分
   ・声門下の気道閉塞(腫瘍・浮腫)には無効
 ・逆行性挿管

・E-line
  →Esthetic-line
 ・1954年 Rickettsが提唱
 ・美しい口もとの基準とされる線
 ・軟組織顔貌上の鼻の先端-オトガイ部最突出点を結ぶ直線
 ・東洋人の骨格
  →E-lineに上下の口唇が接するか
   やや後退している状態が美しいとされている。
・Profileの分類
・美しい顔の条件
 ・アリストテレス
   →美は「秩序とシンメトリーの明確さ」にある.
 ・プロティノス
   →「美しいものは本質的にシンメトリーをなす.」
 ・新古典派やルネサンス期の基準
   ・「耳の長さと鼻の長さが同一である」
   ・「眼間距離が鼻の幅と同一である」
   ・「口裂の幅が鼻の幅の1.5 倍である」
・正面観
 ①対称性 
   →ヒトの顔は非対称.
    ・右半分が大きい。
    ・中顔面より下顔面に下がるにつれて左方偏位を示す.
   →正中に対してオトガイが4mmずれると・・・
    顔が非対称であることに人は気付く.
 ①顔面高 
   ・上中下顔面の比率が均等な顔の下顔面高
     →総顔面の高の±13~15%変化させると・・・
     →長い(or短い)顔と認識される。
・不正咬合
  ・遺伝的要因
  ・環境的要因
    ・口腔習癖
    ・齲蝕、歯周疾患
    ・顎関節障害
    ・鼻咽腔疾患
       ・歯ぎしり
        ・外傷 
・ハプスブルグ家における骨格性下顎前突の家系集積