2017年9月16日土曜日

平成30年度採用 専攻医(後期研修医)募集

今年度は18人の先生方が、麻酔科専攻医またはICUフェローの病院見学に来ていただきました。(現在、ICUフェローの募集はすでに始まっています。~9/22まで)
このたび新専門医機構の方針決定を受けて、14日、当院の専攻医の選考試験日程が変更、決定されました。

選考試験日: 11月3日(金・祝)
試験方法:小論文(事前提出)、面接

今後のスケジュール

1次募集   9/25-10/20
採用試験 11/3
結果通知 11/6~
2次募集 11月中旬以降(選考試験随時)

参考URL
http://chuo.kcho.jp/recruit/late_resident/medical


応募される先生方にとっては受難の年としか言いようがありませんが、
随時、必要情報を公開していきますので、よろしくお願いします。

2017年9月6日水曜日

関西支部学術集会

「関西支部学術集会」

9月2日、大阪国際会議場にて日本麻酔科学会第63回関西支部学術集会が開催されました。当院からは専攻医の先生を中心に8つの演題を応募し、発表させて頂きました。








当科では専攻医の学術発表も重視しており、今年も専攻医1年目の先生方には全員発表してもらうこととなりました。
今後もスタッフ一同、若手の先生方の学術活動を支援していきます。

2017年9月2日土曜日

麻酔器、呼吸器について

「麻酔科勉強会」 担当:O先生

「麻酔器、呼吸器について」

・麻酔器と人工呼吸器との違い
 ・麻酔器は呼気を再利用する閉鎖循環式(再呼吸)回路
 ・人工呼吸器ではCO2を排出する装置がないため、呼気を再利用しない。
 ・ジャクソン・リースとアンビューバッグ回路の違いに似ている。
・陽圧換気のモード
  ・量制御換気(volume-controlled ventilation:VCV)
  ・圧制御換気(pressure-controlled ventilation:PCV)
 ・どちらが優れた呼吸器設定であるかは画一した答えは無い
 ・いずれの換気設定にしても問題となるのは
  人工呼吸器関連肺障害(ventilator-induced lung injury:VILI)
   →空気を押し込む際の異常な圧力や張力により肺構造を損傷する。
   →容量障害と圧障害の2つのタイプに分けられる。
 ・容量障害
  ・1980年代、高吸気圧よりも高吸気量が
   肺血管外水分量を増加させるという研究が発表された。
  ・それ以降、容量障害という言葉が
   人工呼吸による肺浸潤のメカニズムを説明するために使用された。
  ・肺胞の過膨張と肺胞-毛細管界面の破壊
    →肺の炎症性浸潤を生じるというメカニズム。
  ・どの程度の容量設定にするか?
    →ARDS患者を対象とした6ml/kgvs12ml/kgでのトライアルが示すのみ。
 ・圧障害
  ・陽圧換気
    →気道や肺胞の破裂によってエアリークを生じる可能性。
  ・プラトー圧が30cmH2Oを超えないように設定する必要がある。
 ・無気肺損傷
  ・呼吸器使用中、細気道は呼気終末に虚脱する。
   ↑吸気量が陰圧と比較して圧倒的に少ないため。
  ・肺コンプライアンスが低下していると増悪
  ・呼吸器管理中、細気道の開通と虚脱を繰り返すことにより
   過度の剪断力が発生し、気道上皮が損傷する。
   →無気肺損傷と呼ばれる。
・VCVについて
 ・1回換気量をあらかじめ設定設定。
 ・設定した換気量まで気道内圧は一定速度で上昇。
 ・最高気道内圧(Ppeak)に達するのは、
  気道、胸腔の抵抗及び弾性力の圧(Pres,Pel)に打ち勝つ瞬間。
 ・Ppeak=Pres+Pel
 ・Ppeak自体が肺およびその周囲に障害を与える直接的な因子ではない。
 ・VCVでのプラトー圧は?
   ・Pplateau(プラトー圧)は呼気終末の肺胞の最高圧(Palv)
   ・吸気ホールド(通常1秒)を行うことによって算出できる。
   ・Pplateauが肺障害と直接的に関連する。
・PCVについて
 ・吸気圧を前もって設定し、
  望む1回換気量を得るために吸気時間を設定する。
 ・吸気流速は圧を一定に保つために、吸気開始時に早くその後減速。
 ・吸気終末気道内圧(Paw)とプラトー圧は理論的には一致する。
・呼吸器は診断補助ツール
 ・Ppeak(Paw)が高いとき何が起こっているのか、
  診断補助ツールに使うことができる。
 ・2つの値を計算することで診断補助に使用できる。
  ①胸腔コンプライアンス(50-80)
  ②気道抵抗(3-7)
・胸郭コンプライアンス
 ・肺と胸壁の両方を含んだ値でCstatで表現される
  ・VCV:Cstat=Vt(1回換気量)/(Pplateau-Peep)
  ・PCV:Cstat=呼気Vt/(Paw-Peep)
 ・どちらのモードでも計算できるが、
  1回換気量が変化することは計算上望ましくない。
 ・呼吸筋収縮の影響を受けるため、受動的呼吸時にのみ計算が有効。
 ・計算上の1回換気量は呼吸回路のコンプライアンスで補正する。
・気道抵抗
 ・吸気抵抗(Rinsp)と呼気抵抗(Rexp)の2つが存在する。
 ・流量が一定であること(VCVであること)、
  短形波(漸減波ではない)であることが測定の条件。
  ・Rinsp=(Ppeak-Pplataeu)/Vinsp(吸気流速)
  ・Rexp=(Ppeak-peep)/PEFR(最高呼気流速)
 ・呼気抵抗はCOPDなど細気管支などの閉塞傾向を鋭敏に反映し
  吸気抵抗より通常高くなる。
 ・最高呼気流量の計算が難しいため通常は吸気抵抗を計算する。
 ・気管チューブや呼気弁の影響を受けることに注意。

2017年8月19日土曜日

亜酸化窒素について

麻酔科勉強会 担当:O先生

「亜酸化窒素について」

・吸入麻酔の歴史
 1779年 笑気の麻酔効果を発見
 1842年 エーテル麻酔による抜歯成功
 1844年 笑気麻酔による抜歯成功
 1847年 クロロホルム麻酔の臨床応用開始
 1956年 ハロタンの合成
 1959年 メトキシフルランの使用開始
 1965年 イソフルランの合成
 1966年 デスフルランの合成
 1968年 セボフルランの合成

・亜酸化窒素のメリット
  ・鎮痛効果
  ・併用薬剤の減量 
  ・コスト減?
  ・低血圧が減る?
  ・150年の使用経験
  ・導入・覚醒が速い
  ・術中覚醒の減少
・亜酸化窒素のデメリット
  ・PONV
  ・VitB12欠乏
  ・免疫抑制
  ・心筋虚血
  ・低酸素血症
  ・神経毒性
  ・催奇形性
  ・閉鎖腔の拡張
  ・頭蓋内圧亢進
  ・助燃焼性
  ・温室効果
  ・単剤で使用不可
・鎮静作用
 ・NMDA型グルタミン酸受容体の阻害。
   →グルタミン酸を介する興奮性神経伝達を抑制。
 ・GABA受容体には作用しない。
 ・ちなみに静脈麻酔薬・他の吸入麻酔薬は
  主にGABA受容体を介する神経抑制作用を増強する。
・鎮痛効果
 ・亜酸化窒素のMACは104%→単独使用は不可
 ・あくまでも補助的な使用
 ・鎮痛のメカニズムは???
   ・亜酸化窒素が青斑核でNA作動性ニューロンを活性化
    →NMDA受容体の阻害
    →視床下部でのCRFの放出促進
    →中脳中心灰白質でOpioid作動性ニューロンを活性化
    →脳幹でのOpioid放出はGABA作動性介在ニューロンを阻害
    →脊髄のNA作動性抑制性介在ニューロンの脱抑制
    →脊髄後角で一次求心性ニューロンから
         二次求心性ニューロンへ痛み刺激が伝達されるのを阻害
   ・NA受容体(α2B-R)欠損マウスや
    脊髄切断した動物では亜酸化窒素の鎮痛効果はみられない
        →上記の下行性抑制系が主な機序であることを示唆
   ・ちなみに静脈麻酔薬・吸入麻酔薬によるGABA受容体活性化は
       下行性抑制系を阻害する方向に働く
   ・理論上、他剤との併用で亜酸化窒素の鎮痛効果は減弱することになる。
      ・しかし実際には・・・
    ・亜酸化窒素の併用でセボフルランのMACは20-30%減少する。
      →下行抑制系以外の経路の関与を示唆
・MAC sparing effect
  →セボフルランの使用量を減少させる。
  ・フェンタニルで十分鎮痛された状況では、
   亜酸化窒素を併用してもMAC sparing effectはみられない。
・レミフェンタニルの併用
   ・鎮痛効果を増強する可能性も。
   ・レミフェンタニルの使用による持続的なNMDA受容体刺激は
    術後痛覚過敏の原因となる。
     →亜酸化窒素との併用で術後痛覚過敏を抑制する可能性。
・代謝、排泄
 ・生体内での代謝率は0.004%と極めて低い
 ・ほぼ呼気中に排出される
 ・肝障害・腎障害に影響されない
 ・麻酔効果は可逆的、残存しない
・作用発現
 ・血液/ガス分配係数が0.47と低い
   →作用発現・消失が迅速
 ・ただしデスフルランも同等に血液/ガス分配係数は低い。
 ・亜酸化窒素だけの特性ではなくなってきている。
・二次ガス効果
 ・亜酸化窒素が速やかに肺胞から組織へ移行する。
   →他の吸入麻酔薬(=二次ガス)と併用すると、
    肺胞内での二次ガスが濃縮され濃度が上昇していく。
   →二次ガスの効果発現が早まる。
・術中覚醒への影響
 ・他の吸入麻酔薬より健忘作用が強い。
 ・亜酸化窒素の併用で術中覚醒が減少する。
・呼吸への影響
 ・呼吸抑制
   →一回換気量は低下するが
    呼吸数上昇で換気が代償されるためPaCO2は上昇しない。
 ・セボフルランとの併用時にセボの濃度を下げることができる。
   →セボフルランによる呼吸抑制を起こりにくくする。
   →自発呼吸が残しやすくなる。
・循環への影響
 ・軽度の陰性変力作用があるが、交感神経刺激作用もある。
   →互いに相殺するため他の吸入麻酔薬に比べて循環抑制が乏しい。
 ・左室機能低下症例
   →もともと内因性の交感神経が緊張しているため、
    陰性変力作用が出現する。
・閉鎖腔の増大
 ・閉鎖腔は窒素で満たされている。
 ・亜酸化窒素は窒素よりも血液に溶けやすい。
  →亜酸化窒素の流入が窒素の流出速度を上回るため閉鎖腔が膨張。
 ・気胸、イレウス、肺気腫、空気塞栓で問題になる
 ・中耳内圧上昇
   →鼓室形成での移植片の移動
 ・気管チューブやLMAのカフ
   →カフ圧チェックの必要性
・拡散性低酸素血症
 ・亜酸化窒素を投与終了した直後に十分な酸素投与をしなかった場合に発生
 ・亜酸化窒素の吸入中止
   →亜酸化窒素が血液から肺胞へ大量に移行。
   →肺胞の酸素分圧が低下。
 ・亜酸化窒素の投与終了後には
   ・高濃度酸素投与
   ・呼気中酸素濃度やPaO2のモニターを考慮。
・PONVの頻度の増加
・催不整脈作用
  →交感神経亢進作用による
・神経毒性
  →長時間の使用でミエリンの変性を来し脊髄を障害。
・ビタミンB12欠乏患者でハイリスク
  →健常者では大量の亜酸化窒素を投与しないと起こらない。

2017年8月18日金曜日

筋弛緩の拮抗

初期研修医勉強会 担当:M先生

「筋弛緩の拮抗」

・ネオスチグミン
 →抗コリンエステラーゼ薬
  ・コリンエステラーゼを阻害し
   →神経筋接合部でのACh濃度を高める。
   →非脱分極性筋弛緩薬に拮抗
 ・副交感神経でのムスカリン作用を拮抗するためにアトロピンを併用。
 ・副作用
   ・コリン作動性クリーゼ、不整脈(徐脈)、
    腹痛、唾液分泌過多、流涙、気管支痙攣、・・・
・ネオスチグミンの問題点
 ・効果発現まで10〜15分ほどかかる
 ・深い筋弛緩状態ではネオスチグミンを増量しても
  効果が出ない(天井効果 ceiling effect)
 ・筋弛緩からの自然回復が進んだ状態で
  高用量のネオスチグミンを投与すると
  かえって神経筋伝達が阻害される(逆説的な筋力低下)。

・スガマデクス
 ・効果発現は迅速
 ・浅い筋弛緩(TOFでT2発現時)では1.4分、
  深い筋弛緩(PTC1 ~2)では2.7分でTOF比0.9まで回復する。
 ・健康成人に96mg/kgに達するスガマデクスを投与しても
  いかなる有害事象も出現しなかったという報告もある。
 ・小児に対するスガマデクスの使用
   ・studyはほとんどない
   ・成人に対するスガマデクスの推奨量と同等量で
    十分なリバースが得られる。
     →しかしリバースまでの時間は短くなる
   ・2歳以上の小児における適度な筋弛緩の場合は
    2mg/kgの量でリバースができる
 ・病的肥満の患者
   ・理想体重で算出した投与量では不十分
    →理想体重で算出した投与量の+40%で
     臨床的に有効な拮抗(平均回復時間<2分)ありとの報告。
   ・投与量に関して最終的なコンセンサスはない。
 ・妊婦
   ・妊婦に対するstudyはない。
   ・乳汁中に移行するかどうかは知られていない。
   ・妊産婦・授乳婦に対する影響はないと考えられている。
 ・ロクロニウムアレルギーに対する使用
   ・有効とする報告例はいくつかある。
   ・しかし明確に有効性を示した文献はまだない。
   ・もし考慮するのであれば早期に高用量(16mg/kg)での投与を。
 ・RSIにおいては?
   ・RSIにおいてロクロニウム−スガマデクス複合体は
    サクシニルコリンよりも安全である。(Cochrane review)
 ・スガマデクスの臨床的な副作用(>2%)
  ・早期拮抗により
    ・浅麻酔時の咳き込みや体動、苦悶表情。
    ・気管内チューブによる嘔吐。
  ・QT延長、AV blockの可能性(研究により様々)。
  ・アレルギー反応(初回投与でも起こりうる)。
  ・筋弛緩の再出現(投与量が不十分な患者での報告)。
 ・禁忌
  ・絶対的禁忌
    →スガマデクスに対するアレルギーのみと考えて良い
  ・相対的禁忌
    ・出血性疾患
    ・腎機能不全
    ・トレミフェンやフィジン酸の使用

・筋弛緩のモニタリング
 ・TOF(Train-of-four;4連刺激)
   ・2Hz(0.5秒間隔)で4回連続の最大上刺激を与える。
   ・TOFは第1刺激による反応(T1)と
    第4刺激による反応(T4)の比(T4/T1)を%で表示する。
   ・麻酔導入時:気管挿管のタイミング: TOF=0%(反応数 0/4)
   ・麻酔維持中:適切な維持状態    TOF=0%(反応数 1〜2/4)
       追加投与のタイミング   TOF=0%(反応数 3〜4/4)
   ・覚醒時期 :拮抗薬投与のタイミング TOF=25-35%以上
       抜管時期     TOF=80-90%以上
  ・TOF比>0.9
    →残存筋弛緩からの回復を示唆する一般的な指標。
  ・TOF刺激による2回目の収縮反応(T2)の再出現を
  「浅い筋弛緩状態」と呼ぶ。
 ・PTC(Post-tetanic count)
  ・深い筋弛緩時のモニター。
  ・5秒間50Hzの刺激を与えて3秒間休止。
  ・引き続き15回1Hzの刺激を与え検知された反応数を表示。
    ・PTCが1なら10分以内にTOFのT1が出現する。
    ・PTCが5なら3-4分で、7ならまもなくT1が出現する。

・筋弛緩の再出現
  ・末梢分画のロクロニウムが中枢分画(血中)に戻る。
   →肝臓での代謝能力、または血中での包接可能量を超える。
   →神経筋接合部に移行。
   →再び筋弛緩状態となる。
  ・完全な筋収縮(TOF=100%)
    →75%のACh受容体が筋弛緩薬で占められている場合にも起こる。
    →循環によって増加した少量のロクロニウムでも
     再び筋弛緩を引き起こすのに十分な量になりうる。

2017年8月8日火曜日

留学通信1

神戸市立医療センター中央市民病院では規定を満たしたスタッフ医師に対して研究休職(サバティカル)を認めており、現在当科K医師がこの制度を利用してUniversity of Pittsburgh Medical Center(UPMC)麻酔科に留学しています。
以下、K医師からの留学通信です。

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 私は現在、中央市民病院の研究休職制度を利用して、UPMC麻酔科において麻酔科領域におけるレジデント教育とシミュレーション教育について主に勉強させて頂いております。
日米医療体制の違いを感じつつ、病院の規模や医療体制はもちろんのことながら、システマティックに構築された教育体制や、先進的なシミュレーション教育に常に刺激を受けながら毎日を過ごしています。


UPMC Presbyterian Hospital

UPMC Montefiore Hospital (私の主な勤務場所)

シミュレーション教育センター:WISER

 臨床留学が資格などの面でなかなか難しい中、大学院で博士号を取得してから研究留学というのが医師の留学の一般的な道筋であることを考えると、市中病院で長らく臨床を続ける医師がそのまま留学を目指すというのはなかなか難しいことだと思っていました。それに対して「市中病院の臨床医にも留学の道を与える」ということでこの研究休職制度が作られ、今回認めて頂いたことは大変な喜びです。
 こちらでしっかり勉強して医学教育、シミュレーション教育について知識と経験を積んで、帰国後に麻酔科のレジデント教育はもちろん、中央市民病院全体でのスタッフ教育のさらなる充実につなげて、神戸市の医療をよりよいものにしていく一助となればと思います。また時折現状を報告させて頂きます。

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2017年7月19日水曜日

酸素化戦略

麻酔科勉強会 担当:O先生

「酸素化戦略」

・人間には約60兆個の細胞が存在
・各細胞は食物から得られるADPをATPに変換し、ATPをエネルギーとして全身で利用
・その際に酸素を利用することで、効率的にATPを産生
・ADP1単位から好気性代謝でATP36単位、嫌気性代謝で2単位生成
・輸液療法も輸血療法も酸素化療法(人工呼吸管理)
  →最大の目標は『全身の酸素化』
   ・酸素供給
   ・酸素需要
   ・酸素利用率
・血液中の酸素
 ・酸素を運搬しているのはHb
 ・SO2=酸素Hb/総Hb
 ・酸素解離曲線の存在
 ・溶存酸素(ml/dL)=0.03(ml/L)×0.1×PO2(mmHg)
 ・動脈血酸素含有量(CaO2;ml/dL)
   =1.34×Hb×SaO2+0.003×PaO2;正常値:20
 ・静脈血酸素含有量(CvO2;ml/dL)
   =1.34×Hb×SvO2+0.003×PvO2;正常値15
 ・溶存酸素は非常に小さい値なので(<0.3ml)
   →簡易酸素含量=1.34×Hb×SO2
・酸素を細胞内に取り入れる最大の組織は肺
 ・肺は肺胞/肺血管を通じて、CO2とO2を交換
 ・O2は血液に取り込まれHbに結合することで血中へ(わずかに溶存もする)
 ・ポンプ機能を持つ心臓によって全身に送られる(心拍出量に依存)
・酸素の供給
 ・酸素供給量はDO2(mL/min)で計算
 ・DO2=CO×1.34×Hb×SaO2×10
 ・正常値は900-1100mL/min、体格補正(体表面積;BSAで割ったもの)で520-600
   →250を下回ると組織の低酸素に至る
 ・輸液やカテコラミンは主にCOに影響
・酸素摂取量(VO2)
 ・組織内には酸素を貯蔵されない
 ・酸素摂取量=酸素消費量の包括的測定値
 ・酸素摂取量はVO2で計算
  →COを求めるFickの式を使用して計算
   VO2=CO×1.34×Hb×(SaO2-SvO2)×10
 ・限界もある。
   ・VO2の計算に必要な測定項目であるCO,Hb,SO2,血中酸素含量には
    測定誤差(内因性の変動)があり、最大で18%もの誤差がある
   ・肺の酸素摂取量が計算値に含まれていないため
    厳密には『全身の酸素摂取量』ではない
   ・肺のVO2は5%程だが炎症で20%まで変化
   ・全身のVO2の計算式:VO2=VE(分時換気量)×(FiO2-FeO2)
・VO2低下の原因
 ・代謝の異常(低代謝)と嫌気性代謝をもたらす組織酸素化の不足
   ・低代謝の原因
     ・全身麻酔薬の存在(鎮静、麻薬、筋弛緩)
     ・低体温
     ・低活動、高齢者
     ・敗血症(全身の炎症反応)
 ・VO2の正常値は200~270、体格補正後は110-160
 ・VO2/BSAから110を引いた値に時間をかけたものが『酸素負債』
 ・酸素負債と多臓器不全のリスクは直接関係する。
・酸素摂取率(O2ER)
 ・O2ER=O2ER=VO2/DO2
 ・溶存酸素を無視し、共通項(CO,1.34,Hb,10)を消して簡易化する
   →O2ER=(SaO2-SvO2)/SaO2
 ・正常値は0.20-0.30
 ・0.30を超える場合はDO2の低下を意味する(貧血や低心機能など)
 ・0.50(嫌気性代謝閾値)を超えると組織の低酸素になる(後述)
 ・0.20未満では組織の酸素利用障害を示す
   ・DO2が減少しても初期にはVO2に変化はない
   ・DO2が下がりすぎるとある一点でVO2が低下する。
   ・この点が嫌気性代謝の閾値
・これらを見るために必要なモニターは?
 ・SaO2にはパルスオキシメーター(Aガス)
 ・HbにはABG or VBG
 ・COはPAC、CV(プリセップ)、エコーで測定もしくは推測可能
 ・SvO2はPACのみ・・・
   →ScvO2でも推測可能
・混合静脈血
 ・上大静脈』『下大静脈』『冠静脈』の3つの静脈血、
  すなわち肺を除く静脈血の混合(合流)した静脈血の酸素飽和度
 ・3つの静脈の合流場所は右心房。測定場所は通常肺動脈
 ・混合静脈血酸素飽和度(SvO2)
   ・65%-75%が正常値
   ・呼吸器の使用や酸素化されてSaO2が一定であれば
    その変化はERの逆に捉えることができる
         =ER=(SaO2-SvO2)/SaO2
   ・SvO2<65%は酸素供給量の低下(貧血、低心拍出量)
   ・SvO2<50%は組織低酸素
   ・SVO2>75%は組織の酸素利用障害
 ・中心静脈血酸素飽和度(ScvO2)
   ・CVカテが留置されていれば測定可能
   ・先端が留置されている場所での静脈血のガス測定が可能。
    →『上大静脈』or『下大静脈』
   ・酸素が極端に少ない冠静脈は含まれない
   ・SvO2とScvO2の間には差がある(ScvO2の方が高い)
      ・ScvO2の変化は一般的に有意である
   ・正常値は70-89%
・SvO2とScvO2の解離
  ・正常でもScvO2はSvO2よりも3-11%程度高い。
  ・この差は心不全、心原性ショック、敗血症で大きくなる
  ・上大静脈にカテ先端が留置されている場合
     ・心不全、心原性ショックなどで低心拍出量
       →末梢血管抵抗の増大により脳血流が保たれる。
       →ScvO2は相対的に高い値を示す
  ・敗血症性ショックでScvO2がSvO2よりも比較的高い場合
    →腹部での酸素消費量の増加を示唆する
・乳酸値
 ・乳酸は嫌気性解糖の最終産物
 ・高乳酸値は低酸素状態(および脱水)を必ずしも反映しない
 ・低酸素状態になればlacは上昇するがVO2の低下から数時間遅れる
 ・これは乳酸が負に帯電しており細胞膜通過に時間がかかるため
・組織低酸素ではない高乳酸血症
 ・全身性炎症反応症候群
 ・チアミン欠乏(原因不明の高lac血症)
 ・薬物
   ・アドレナリン、メトホルミン
    抗レトロウィルス薬、リネゾリド
    プロピレングリコール
     →プロピレングリコールを含む薬剤
       ・ロラゼパム
       ・ジアゼパム
       ・エスモロール
       ・ニトログリセリン
       ・フェニトイン
 ・アルカローシス
 ・痙攣
 ・肝機能障害
 ・喘息発作
 ・悪性腫瘍
 ・シアン化合物
 ・一酸化炭素など
・乳酸そのものは有害なのか
 ・敗血症性ショックでは心臓における乳酸の酸化が亢進している
 ・低酸素状態の神経組織では乳酸の酸化が重要なエネルギー源である
 ・乳酸アシドーシスの治療は原因となった代謝異常を是正することが第一
・重症敗血症と高乳酸値
 ・細菌のエンドトキシン
   →ピルビン酸からアセチルコエンザイムAに変換される過程を障害
   →ピルビン酸の蓄積による高乳酸血症になる
 ・敗血症において高乳酸血症=酸素化の不足は一対一対応ではない